NFLこのスケジュールが酷い
1.始めに
この記事はNFLの試合日程について書いています。ショートウィークやバイウィークの用語が分かっていらっしゃる方は冒頭は読まなくて、「2.スケジュールの不公平感」から読んでいただいても大丈夫です。
NFLでは、現在レギュラーシーズンは週に1回のペースで試合を行い、全16試合を17週で進めていきます。17週-16試合=1で、1試合余るのですが、これはバイウィーク(Bye Week)と呼ばれていて、試合が無いお休みの週です。
試合のない週は、次の対戦相手の分析や自チームの戦術の確認などに、十分な時間を取ることができます。また怪我の多いスポーツですので、1週間の休養は選手の回復に大変役立ちます。
バイウィークは各チームごとに異なった設定がされていて、2017年ですと早いチームでは4週目に、遅いチームでは13週目にお休みになる、といったチームごとの差が出てきます。対戦チーム同士のバイウィーク週が異なると、準備期間に差が生じることになります。
AチームとBチームの対戦を考えてみましょう。Aチームは休み(バイ)、Bチームは通常通り試合をした場合、バイウィーク明けのAチームはBチームの対戦に向けて2週間の準備期間が取れるのに対し、Bチームは1週間しか準備期間取れません。
この例ではバイ明けのAチームが有利に対し、バイ明けチームとの対戦のBチームは一般的に不利と言われています。
さらに変則日程で通常日曜日の試合が、月曜日または木曜日に行われるケースあります。日曜日に試合してから木曜日の試合は準備期間や選手の回復期間がロクにとれないショートウィークとして嫌う方も多いです。一方で木曜日の試合があった場合、次の日曜日の試合は普段より長めの期間が取れます。ショートバイとかロングウィークとか呼ばれています。このあたりもチームごとに準備期間に差が出る要因になります。
2.スケジュールに不公平感
こんなツイートがありました。
GBの相手は先週のCHIがバイウィーク明け、今週のBALもバイウィーク明け、来週のPITが木曜ゲーム後のロングウィーク明け。ちょっとひどすぎね?
— Packer Zone (@packerzone) 2017年11月17日
バイウィークは各チーム1回なので、平等に割り振ればバイウィーク明けの対戦が年に2回を超えるというのは違和感があります。さらに僕の応援チームであるDETも今年はバイウィーク明けの対戦が3回設定されいますた。対戦相手がバイウィーク明けというのが通常どの程度の回数なのかを今回調べてみました。(集計間違いあれば指摘ください)
次の表は全32チームの2017年の対戦相手の準備期間を集計したものです。
一番左の列はweek1です。直前はプレシーズン4戦目ですが、主力の出場は原則ないため、ここはノーカウントとしています。
その右隣のセルがWeek2のものでして、通常の日曜日の試合であれば7(日)の値が各セル入力されることになります。サーズデイナイトの試合が組まれたHOUとCINは互いがショートウィークのため準備期間4(日)が入力され、week1のサーズデーナイトだったNEとKCはweek2までの試合までに準備期間が10日が取ることができため、その対戦相手であるNOとPHIのセルに10(日)が入力されています。今年はハリケーンの影響でMIAとTBがweek1がバイに変更となったため、それぞれの対戦相手であるLARとCHIの対戦相手の準備期間が14(日)が入力されています。
このように対戦相手の準備期間が14日の場合が赤色で、14日未満10日以上の場合を橙色で、また対戦相手がショートウィークの場合は青色で示しています。
これをシーズン全部通して集計したものが右から2番目の値で、この値が小さいほど年間を通して対戦相手の準備期間が短いことを、大きい場合は対戦相手の準備期間が長いことを示しています。
こうしてみますと、ハリケーンの影響もあったTBが置いておくとして、GB、DETも酷いのですがNYGはさらに酷いことになっています。week6,7は連続して相手がバイ明け、week8は自分がバイウィークなのですが、week9の対戦相手もバイ明けで、条件はイーブン。さらにweek11もバイ明けチームの対戦となっています。これに対しKCはバイ明けの対戦がなしで、今年の対戦相手のトータル準備期間103日と、NYGの134日と比べて30日以上の差がついています。年間16試合ですから平均すると2日違うという事になります。
先ほどのNYGの対戦相手がバイ明けでも自信もバイ明けなら条件はイーブンという事を考慮して、自身の準備期間から対戦相手の準備期間を引いたもので、再集計して表をまとめなおしてみました。
準備期間の差 = 自分の準備期間 - 相手の準備期間
対戦相手と準備期間が同じなら0、相手のみがバイ明けなら数値は-7、自分がバイ明けで相手が通常通りなら数値は+7が入ります。
- 2017年
これで見てもNYGの酷いスケジュールがよく分かります。
ついでなので過去10年分の準備期間の差の集計結果表も貼っておきます。
- 2016年
- 2015年
- 2014年
- 2013年
- 2012年
- 2011年
-
2010年
- 2009年
- 2008年
10年分を見ますと準備期間の差の合計が-15を下回ると異常、さらに-20を下回ると相当希なケースであることが分かります。
3.このスケジュールが酷かった
この10年間で個人的に酷いと思ったスケジュールをピックアップしてみました。
2012年のPHIは4週目に先週サーズデーナイトだった同地区NYGと対決ご、5週目PHI6週目DETといずれもバイ明けのチーム対ア戦。7週目は自身がバイでしたが、8週目の対戦相手ATLもバイ明けでイーブン。さらに11週目も同地区対決WASがバイ明けという本当に酷い日程が組まれていました。この年のPHIは4勝12敗で地区最下位に沈みました。
2015年のSEAは6週目にバイ明けのCARと対戦。9週目が自身がバイウィークだったものの10週目の対戦相手は同地区対決ARIもバイウイーク明けでイーブン。さらに11週目、12週目は同地区SFと競合PITがいずれもバイウィーク明け。16週目の同地区STLも前週がサーズデーナイトで十分な準備期間という結果でした。前年2014年はスーパーボウルまで行ったSEAですが、この年は10勝どまりで地区首位は13勝のARIに譲りました。
2017年は現時点で最終的な結果は出ていませんが、NYGは前評判と比べると不本意なシーズンを送っています。
2009年のATLは4週目に早々とバイウィークを迎え、5週目にSFを下した後は、6週目、7週目、9週目、11週目と6試合で4試合がバイウィーク明けのチームとの対戦でした。この年は9勝どまりでPOを逃しています。
2009年のBUFは、3週目の前週サーズデイナイトだったジェッツとの対戦のあと、7週目、8週目、10週目にいずれもバイウィーク明けのチームとの対戦が組まれました。この年のBUFは6勝10敗で地区最下位に沈みました。
4.準備期間の差と成績
最後に2008年から2016年の9年間について、準備期間の差の合計と勝ち数を比較してみました。横軸が準備期間の差の合計、縦軸が勝利数です。差が-20を下回ると11勝したチームがいないことが分かります。一方で差が-20より大きいと、そこまで勝利数に影響しているようには見えません。準備期間の差が直接勝ち星に影響を与えるという訳ではないように見えます。
もし明確な関係が見られていればリーグの方も、多少は日程に配慮するのかもしれません。また移動距離はホームアウェイなど、他に勝敗に影響しそうな要因のバランスを取ることに苦心してバイウィークなどの差は考慮していないということかもしれません。
できることなら来年は準備期間の差が-20が超えないような公平な編成を望みたいところです。