ザッケローニ監督の選手固定具合を生物多様性指数でみる
ザッケローニ監督の選手がいつも同じで結果がでていないという話がされおります。
メンバー固定の弊害が出ているザックJ
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20131019-00000003-wordleafs-socc
一方で本人は「今まで49人も試しているんだが…」
http://www.nikkansports.com/soccer/japan/news/f-sc-tp2-20130724-1162502.html
とこれに対応しています。
選手の固定具合がどの程度か、49人という数字が少ないのか多いのか、過去の監督と比べてどうなのか数値を使って調べてみました。
選手の固定されているかは、選手の構成が多様でないと言い換えることができます。
そこで生物種の多様性を評価する指標を使ってみます。
使うのはSimpsonの多様度と
Shannon-Wiener の多様度*1
で調べます。
まず極端なケースを使って指数どの程度になるかテストケースで数値を計算しておきましょう。
日本代表が行う試合数を20試合とします。
選手は11人+交代枠3人で1試合当たり14人が出場します。
述べ出場選手数は20*14で280人です。
20試合を完全固定メンバーで行うと、ユニークな選手は14人です。
1試合ごとのターンオーバーを使って、入れ替える場合はユニークな選手は28人です。
1回選ばれた選手は2度と使わない、選手重複なしの場合はユニークな選手は280人です。
1試合の 出場者 |
試合数 | 出場 延べ人数 |
ユニークな 出場選手 |
1人当たり 出場試合数 |
Pi | Shannon- Wiener |
Simpson | |
完全固定 | 14 | 20 | 280 | 14 | 20 | 0.07143 | 3.807 | 0.929 |
ターンオーバー | 14 | 20 | 280 | 28 | 10 | 0.03571 | 4.807 | 0.964 |
重複なし | 14 | 20 | 280 | 280 | 1 | 0.00357 | 8.129 | 0.996 |
選手iの出場した試合数を分子に、述べ出場選手数を分母にして、選手iの占める割合Piを計算します。
このPiそれぞれのケースで計算した各指数は以下の通りです。
完全固定の場合、Simpson指数は0.929、Shannon-Wiener指数は3.807
重複なしの場合、Simpson指数は0.996、Shannon-Wiener指数は8.129
ターンオーバーの場合は、両者の中間の値をとっています。
両指数とも小さいほうが固定の度合が強いということが分かります。
これを踏まえて、実際に年別の両指数を計算してみましょう。元となるデータはこちらのサイト様のデータを使わせていただきました。
集計結果を次のグラフにまとめます。
2006年、2010年の多様性指数が高いので、この年はいろんな選手が試合に出場したことが分かります。この年はW杯が開催された年で、監督の交代が起きています。監督交代で選考方針の変更や、世代交代、選手の代表引退などにより、選手が多様になったと思われます。
Shannon-Wiener指数が最も低くなった2007年はオシム監督収入の2年目の年です。
岡田監督は2008年の最初から指揮をとり、比較的多くの選手を使ったことが分かります。
ザッケローニ監督は就任2年目、3年目の多様性は低い、つまり選手が固定されていたが4年目は急激に多様性が高くなっています。Shannon-Wiener指数が5を超えたのは
監督交代が起きた2006年、2010年、岡田監督の1年目と同じで、多くの選手が出場していたという評価になります。
W杯開催年を基準に、その何年前で多様性が変わるかを見てみましょう。
こちらを見ても、2013年のザッケローニ監督は多くの選手を試していることが分かります。W杯1年前の段階では、ジーコ監督、岡田監督と比べて最も多くの選手を試しています。
最後にShannon-Wiener指数を横軸に、その年の勝率を縦軸にとったグラフを載せます。
右下の白丸はW杯時のものなので、これを除外してみれば、両者にあまり関係があるように見えません。しいて言えば、右肩下がりなので、多様性と勝率には負の相関があるようにも見えます。
ただし、負けがこんでいるため新たな選手を発掘したのか、もしくは新しい選手を入れたので負けるようになったかの因果関係は不明ですので注意です。
結論としては、ザッケローニ監督の1,2年目は選手は固定されていたが、ジーコ、オシム監督と比べて、著しく固定されていたわけではない。また3年目は多様性が非常に高く、年途中で監督交代したくらいのインパクトで様々な選手が出場したということができます。
*1:式の形からピンと来る人もいると思いますが、ルーツは情報エントロピーみたいです。http://blog.archiphoto.info/?eid=569433